9月

産卵を終えると間なしに鮭は息絶えます。一年草は、花を咲かせて種ができると枯れます。
このように、生きものは繁殖を終えれば死ぬというのが、自然界の掟です。
ところが、人間は、食糧事情がよくなったこと、衛生環境が改善されたこと、
医学の発達などが相まって、繁殖を終えて生きものとしての賞味期限が
切れてからも、うん十年生きるようになりました。
これは、一説には、人間とゴンドウクジラだけということです。
  中略
「還り」の人生においては、いやでも「老」「病」「死」と向き合わなければなりません。
基本的には、「老」には寄り添ってこだわらず、「病」には連れ添ってこだわらず、
「健康」には振り回されず、「死」には妙にあらがわず、医療は限定利用を
心がけることが大切です。
生きものとしての賞味期限の切れた後の重要な役割は、「老いる姿」「死にゆく姿」
をあるがまま後続者に「見せる」「残す」「伝える」ことにあります。
また、自分の都合で勝手に生きているのではなく、諸々のおかげを蒙って
生かされていることに気づき、その「縁」を大切にするように心がけましょう。

   中村 仁一 著  「大往生したけりゃ医療とかかわるな」より
                         幻冬舎新書

             社会福祉法人老人ホーム「同和園」付属診療所所長 医師
by 1000nog | 2012-09-03 15:48 | ☆今月の言葉
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